日本ユニセフ協会は、国連機関であるユニセフのグローバルなネットワークの一つとして活動する公益財団法人です。この記事では、ユニセフと協力協定を結んで国内で活動をしている日本ユニセフ協会について解説していきます。

日本ユニセフ協会とは何をしている団体?

日本ユニセフ協会は、どのような事業を行っている団体なのでしょうか。日本ユニセフ協会の概要や事業内容を紹介します。

日本ユニセフ協会の概要

名称 公益財団法人 日本ユニセフ協会(the Japan Committee for UNICEF)
設立 1955年6月9日/2011年4月1日に公益財団法人へ移行
所在地 〒108−8607 東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
代表者 会長 赤松 良子
目的 日本国内の民間において「児童の権利に関する条約」を規範とするユニセフの趣旨に則り、特に開発途上国の児童の福祉増進に寄与するため、国民の間に国際理解及び国際協力の精神を涵養し、併せて国民による国際協力の実施を促進することを目的とする。
(公益財団法人 日本ユニセフ協会定款より抜粋)

日本ユニセフ協会は、世界33の地域や先進国にあるユニセフの国内委員会の1つとなっています。日本では、1955年に財団法人として設立されましたが、2011年に公益財団法人への移行が認定されました。

事業内容は、児童の権利に関する条約やこれに関わる知識の普及や啓発、そして子どもの権利を実現するための政策提言活動をしています。また、開発途上国の児童福祉増進やユニセフ関連事業を支援するための募金活動、ユニセフとの事業協力や連携体制、さらに目的達成のために必要な事業に取り組んでいます。

日本ユニセフ協会/ユニセフとの違い・役割は?

日本ユニセフ協会/ユニセフとの違い・役割

日本ユニセフ協会とユニセフでは、どのような違いや役割となるのでしょうか。日本ユニセフ協会とユニセフは、協力協定を結んでいる関係性で途上国を中心とする世界中の子どもたちを支援しているのがユニセフ、その活動をサポートし、国内での募金・広報・政策提言活動をしているのが日本ユニセフ協会です。

ユニセフは国連機関の職員で構成されていますが、日本ユニセフ協会は公益財団法人なので職員は民間団体への所属となります。1950年代にヨーロッパを中心とした各国でユニセフ協会が設立され、日本でも1955年に日本ユニセフ協会が設立されました。ユニセフは世界190の国や地域で活動していて、世界中で子どもの権利が守られるような活動に取り組んでいます。命を守りながら健康に育つための当たり前の権利が得られるように、ユニセフが支援しているということです。

このユニセフの活動を賛同して支援してくれる日本国内の人から募金を集め、世界の子どもたちのための活動資金としてユニセフへ届けたり、日本国内でユニセフの活動内容を伝えたり、子どもの権利について啓発をするのが、日本ユニセフ協会の役割です。お互いが同じ目的であるものの、活動内容や役割には違いがあるということです。

日本ユニセフ協会協定地域組織とは?

日本ユニセフ協会には、協定地域組織という協力団体が存在します。この協定地域組織は、ユニセフの趣旨に基づいて各地域でのユニセフへの協力活動を推進しています。主な内容としては、様々な地域でユニセフの支援活動を行いながら、そのネットワークを広げることを目的としています。また、協定地域組織として各県や地域のユニセフ拠点となり、募金活動や広報活動を行っています。現在、協定地域組織が活動しているのは26の道府県です。

ユニセフの活動分野

ユニセフの活動は、すべての子どもの命や権利を守るために行われています。ここでは、ユニセフの主な活動分野について紹介します。

保健に関する活動

世界中で5歳を迎えることなく亡くなってしまう子どもは、年間で520万人いるとされています。亡くなるのを防ぐには、安全な水やワクチンが必要とされていますが、このような環境が保てずに命を落とす子はたくさんいるのです。ユニセフでは全ての子どもが十分なケアを受け、安全な水や衛生環境が保てるように総合的な支援活動をしています。

HIV/エイズに関する活動

世界的に、HIV/エイズの感染予防や治療などのケアに関する研究が進んでいることから、エイズに関連する死亡数は年々減少傾向にあります。しかし、HIV感染者をまとめた際に10~24歳までの若者世代の感染率が高く、2019年時点では総感染者数46万人中、17万人が10代となっています。

ユニセフでは、この課題に取り組むためにHIVに対しての正しい知識や予防法を伝える活動を行い、「エイズのない世代」の実現に取り組んでいます。そして、2030年までに結核やマラリアなどの伝染病の根絶や肺炎、水系感染症などにも対処することを目標としています。

水と衛生に関する活動

私たちが生きていくなかで、水と衛生はとても大きな問題となります。不衛生な水は感染症を引き起こし、これがきっかけで幼い命が奪われるケースも少なくありません。世界には安全に管理された飲み水が使用できない地域があり、河川が湖、用水路など未処理の水を使用しています。

また安全に管理されているトイレが使用できない、家や近所にトイレがないという地域もあるのが現状です。他にも約30億人が、石けんや手洗い設備のない環境で暮らしているため、衛生環境の地域差が激しいことがわかります。このような地域に対して、2030年までに清潔な水を届けられるように井戸などの給水設備の設置、正しい衛生習慣を広めるなどの活動を行っています。

栄養に関する活動

年間、数百人の子どもが命の危機にさらされています。その理由は、重度の急性栄養不良です。栄養不良は経済的なダメージも多く、子どもが健康に育たないだけでなく病気にもかかりやすくなってしまいます。幼少期に栄養不良となると身体の発達不足なだけでなく、知能にも遅れが生じてしまうのです。ユニセフでは、栄養治療食の提供や、栄養不良を防ぐための知識の普及、母乳育児の促進といった活動を通じて、栄養状態の改善を行っています。

教育に関する活動

教育は基本的人権なだけでなく、社会全体の発展と豊かな暮らしのためには欠かせないものです。しかし、世界中には学校に通いたくても通えない子どもがたくさんいます。その半数以上が南アジアの子どもであり、学校を中退したケースや生涯通う可能性がない子どももいるのです。ユニセフでは、ジェンダーで区別することなく質の高い教育を提供し、差別や不平等の撤廃を目指し、教育支援活動を行っています。

子どもの保護に関する活動

暴力は、子どもの発達過程において深刻な影響を与えます。あらゆる暴力、搾取、虐待から子どもたちを守ることは、子どもの生存、成長、発達の権利を実現するために必要不可欠です。ユニセフは、出生登録の推進、児童労働の撲滅、児童婚や女性器切除の慣習の撤廃、子ども兵士の解放など、すべての子どもが守られ、健やかに成長できるように支援をしています。

インクルージョンに向けた提言活動

インクルージョンとは、誰もが受け入れられる社会のことで、ユニセフが社会や経済政策に対して行っていくものです。民族やジェンダー、障害など様々な要因で起こる個人への差別に対処するだけではなく、構造的な差別をなくすために取り組んでいます。

ジェンダーの平等に関する活動

ジェンダーとは、男性や女性がどのようなものかを表す概念ですが、ユニセフは、無差別と平等をいう基本的な人権を原則として、ジェンダー平等を考えるための活動を推進しています。また教育分野において、男女に関わらず全ての子どもに教育の機会が与えられるようにしています。

緊急支援、人道支援

自然災害や紛争、感染症の蔓延によって、最も危険にさらされるのは常に子どもです。ユニセフが誕生した1946年当時から、子どもたちの人道支援は継続しています。世界では紛争や災害で傷つき、困難に直面している子どもが今なお多くいます。ユニセフは、どのような困難な状況であっても、子どもたちの権利や命を守るための活動を行い、支援活動を継続しています。

ユニセフが支援活動を行っている地域

ユニセフが支援活動を行っている地域

ユニセフが支援活動を行っている地域は以下の通りです。

【ラテンアメリカとカリブ海諸国】

アルゼンチン、エクアドル、ハイチ、パナマ、ボリビアなど

【欧州・中央アジア】

アルバニア、ウズベキスタン、セルビア、ブルガリアなど

【東アジアと太平洋諸国】

カンボジア、インドネシア、中国、フィリピン、モンゴルなど

【南アジア】

アフガニスタン、インド、スリランカ、モルディブなど

【中東・北アフリカ】

アルジェリア、イエメン、カターン、シリア、ヨルダンなど

【東部・南部アフリカ】

ウガンダ、エチオピア、ジンバブエ、ナミビアなど

【西部・中部アフリカ】

カメルーン、ギニアビサウ、セネガル、マリなど

ユニセフ協会のある国と地域

ユニセフ協会のある国と地域

ユニセフ協会のある国と地域は以下の通りです。

  • アイスランド
  • アイルランド
  • アメリカ合衆国
  • アンドラ
  • イスラエル
  • イタリア
  • 英国
  • オーストラリア
  • オーストリア
  • オランダ
  • カナダ
  • 韓国
  • スイス
  • スウェーデン
  • スペイン
  • スロバキア
  • スロベニア
  • チェコ
  • デンマーク
  • ドイツ
  • トルコ
  • 日本
  • ニュージーランド
  • ノルウェー
  • ハンガリー
  • フィンランド
  • フランス
  • ベルギー
  • ポーランド
  • ポルトガル
  • 香港
  • リトアニア
  • ルクセンブルグ

[画像:日本ユニセフ協会公式サイト]

日本ユニセフ協会の活動内容は?

日本ユニセフ協会では、どのような活動を行っているのでしょうか。

募金活動

日本ユニセフ協会は、支援の輪を広げるために募金活動しています。募金活動は企業や個人、学校や団体などからの協力を得て集まり、長期的な支援として活用されます。

広報活動

日本ユニセフ協会の広報活動は、世界の子どもたちの状況を知ってもらうために、ユニセフ本部や現地事務所発の情報などを発信しています。また出版物の制作や配布、SNS、公共CMなどを活用し、活動内容を多くの人に知ってもらうような活動を行っています。

アドボカシー活動

日本ユニセフ協会では、子どもの権利の実現を目指して、日本国内で様々な啓発活動や政策提言などの活動をしています。

関連記事:日本ユニセフ協会が行ってきた活動内容や実績

日本ユニセフ協会への寄付金の使い道は?内訳はどうなっている?

日本ユニセフ協会へ送られた寄付金は、どのような使い道をされているのでしょうか。その内訳に注目してみましょう。

日本ユニセフ協会→ユニセフへの寄付金の流れ

日本ユニセフ協会に送られらた寄付金の流れ

ユニセフの活動資金は、国連本体からの財政的な支援を受けることはなく、すべて政府からの任意の拠出金と民間からの募金で成り立っています。、日本ユニセフ協会で集められた募金ニューヨークにあるユニセフ本部へ送金されます。ユニセフ本部は、各国の子どもの状況に応じ、ユニセフ現地事務所へ資金を配分します。

日本ユニセフ協会の活動費用

2020年度の日本ユニセフ協会への募金総額は224億88万321円です。そのうちの約17%の費用が支援を得るための募金活動や活動を広げていくための広報、子どもの権利に関するアドボカシー活動等の活動費用となります。そして残りの186億2000万円をユニセフ本部に拠出しました。この金額は世界トップレベルの拠出金額です。

参考:ユニセフへの拠出額と推移

マンスリーサポート・プログラム(つなぐよ子に)


ユニセフでは、マンスリーサポート・プログラム(つなぐよ子に)として、紛争・災害・貧困など厳しい状況におかれた支援の必要な子どもたちに継続的な支援の協力を求めています。募金金額は自由ですが、毎月3000円の募金で栄養治療食が100袋提供でき、2019年では、490万人の子どもに重度の急性栄養不良の治療を行い、4130万人にはしかの予防接種を受けさせることができました。

また、64ヵ国内で緊急事態下にいた3910万人に水を与えることができ、継続的な寄付により、安定した安全が届けられるということです。

詳しくは日本ユニセフ協会の公式サイトへ

ユニセフ親善大使(国内/地域/国際)は誰?役割は?報酬は得ているの?

様々な活動を通して、子どもの権利維持に取り組んでいることが分かりましたが、その親善大使となっている人物は誰でしょうか。

【ユニセフ親善大使】

国内大使:長谷部誠
アジア地域大使:アグネス・チャン
国際大使:黒柳徹子

関連記事:日本ユニセフ協会大使の長谷部誠さんとは?

ユニセフ親善大使(国内/地域/国際)は、誰もが知る著名人です。国内大使の長谷部誠さんは、現役のプロサッカー選手で2007年にユニセフ・マンスリー・サポーターとなり、支援を継続しています。

2016年3月からユニセフ・アジア親善大使となったアグネス・チャンさんは、東日本大震災緊急募金を1,000万円行い、個人的にも常に寄付をしています。1984年からユニセフ親善大使として活躍している黒柳徹子さんは、様々な活動を通じて行ってきたため、ユニセフ子どものためのリーダシップ賞を初受賞した人物です。活動は全てボランティアなので、無報酬となります。

日本ユニセフへの寄付金は所得税や個人住民税の寄付金控除の対象になる?

日本ユニセフ協会への募金は、どのように扱われるか気になる方も多いでしょう。日本ユニセフ協会への寄付金や会費に関しては、特定公益増進法人への寄付金となり、所得税や相続税、法人税の税制上の優遇措置が受けられます。

また、一部の自治体だけですが、個人住民税の寄付金控除の対象にもなっています。個人の税制では、寄付金控除として所得控除か税額控除が選択できます。日本ユニセフ協会から送られる領収証を添付して税務署へ確定申告することで、寄付金控除受けることができます。

日本ユニセフ協会で募集しているボランティア活動

日本ユニセフ協会で募集しているボランティア活動について紹介していきます。

【ボランティア活動の内容】

  • ユニセフ活動の資料発送や仕分け
  • ユニセフハウスでの展示スペースを案内するガイド
  • 全国の学校に対してユニセフ活動の資料発送などの事務作業など
  • ユニセフ募金に関する作業
  • 広報写真データなどの整理や入力
  • 外国コイン募金として受領したコインの仕分け

関連記事:【ボランティアに興味のある大学生必見】日本ユニセフ協会が運営するユニセフキャンパスとは?

ユニセフ支援ギフト/ご支援いただいた方にお礼カード進呈

ユニセフ支援ギフトとは、自分でワクチンや浄水剤といった支援物資を選んでプレゼントすることができる仕組みです。支援ギフトに申込むと、支援に対してのお礼としてカードを進呈しています。お礼カードは1種類の支援物資につき、1枚ずつ送られてきます。個人所得税では募金と同様に、申し込んだ支援ギフトの金額の約40%が、所得額から控除されます。

ユニセフお礼カード進呈
[画像:日本ユニセフ協会公式サイト]

日本ユニセフ協会への評判は?

日本ユニセフ協会へ、ユニセフ募金で寄付をしました。ずっと幼稚園の先生をしてきたから、子供が好きなんです。だから、どこかで苦しんでいる子供たちに、自分なりに何か出来ないかなって思って。入金後1週間後ぐらいで、ちゃんとユニセフからお礼状も届いて、やっぱりやってみて良かったと思いましたv( ̄∇ ̄)ニヤッ

日本ユニセフの協会大使って、アグネスチャン、長谷部誠とか、日野原重明さんとか有名な人が多いですよね。ユニセフでは黒柳徹子さんが有名だし、ジャッキーチェンとか、オーランド・ブルーム、ベッカムとか。みんな無報酬らしいですね。
良いことだけど、こういう活動出来るのもお金持ってるからこそだよね。少しくれないかな。

YoutubeでCMを見て「つなぐよ子に」のこと知りました。ちっちゃい子がこっちを見つめているやつですね。目がくりくりしてすごく可愛いんです。わたし自身、3年前に子供を生んで、ママになりました。別の国で小さな命が苦しんでると思うと、胸が痛くなって、自分でも何か役てることがあればって思うようになりました。

自分は最初、区別がつかなくて、日本ユニセフ協会がユニセフの名前を勝手に使っていると思っちゃってました。

でも違くって、日本ユニセフ協会は日本の中でのユニセフの公式窓口?なんですよね。募金を中抜きしてるとか、間違って捉えちゃってる人多いと思うけど、俺も良くわからない(笑)

結果ちゃんと貧しい子供たちの為になっているなら、正直どっちでも良いかな。

まとめ:ユニセフは各国のユニセフ協会と協定を結び、グローバルに展開している寄付団体

日本ユニセフ協会は、ユニセフと協力協定を結んでいる団体であり、世界中の子どもの命と健康を守り、子どもの権利条約の実現を目指して活動しています。多岐にわたる活動は募金によって成り立っています。日本ユニセフ協会の活動に賛同したのであれば、積極的にボランティアに参加しても良いでしょう。世界の子どもたちが元気に暮らせるように、様々な方法で支援してみましょう。